場末の。

ワタモテの感想記事がメインです。たまに他の話題を取り扱った記事も投稿します。※現在更新をお休みしております。

ワタモテレビュー喪122「モテないし3年生になる」

10月5日(木)に、待望の私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!の喪122「モテないし3年生になる」が公開されました!

 

www.ganganonline.com

 

今回のエピソードは……はい。
筆舌に尽くしがたい……というんですかね。レビューを書く立場であるにも関わらず、言語化出来ないよこれ!という思いが湧いてしまいました。ちょっと間を置かないと冷静に文章を書ける気がしなかったですね……。
無数に押し寄せる感情の波で混乱してしまい、1ページ1ページをめくる速度が急激に遅くなり……

喪117「モテないし2年生の終わり」を読んだ時も1ページ1ページ読む度に悶絶してしまい、読み進めるのが大変だったのですが、今回も半端なかったですね。なんというか、オールスター大感謝祭っていうんですか?
漫画を読む時に「この回豪華すぎるだろ!どんだけ……どんだけ豪華なの!?」って思う事なんてまず無いんですけどね、「なんて豪華なんだ」って感想が思わず出てしまいましたよ。

 

 

 

 

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さて、今回のプレビュー画像はもこっちです!
ん? 「結構同じクラスだった奴多いな?」
……ま、まさか!? 遂にあの回ですかっ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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……はい。1ページ目のアオリ文から既に呼吸が苦しくなりました。瀕死です。

 


まさか、春休み編が一話で終了するとは。焦らさずに一気に詰め寄られ、覚悟する間もなく訪れた印象です。
始業式……すなわち運命のクラス替え。
もうやってしまいますか、谷川ニコ先生……!私は全く覚悟決まってません……!!

 

 

会社の飲み会で席移動するのが憂鬱に感じる人間にとって、居場所の良いクラスからのクラス替えなんてのは審判の日みたいなものですよ……きっと田村さんもそう思っているはずです。
私も例に漏れず、クラス替えの日は緊張で死にそうになっていた日々を思い出します。高校一年生の時はもこっちと同じくぼっちだったので早く変われって気持ちが強かったですが。

 

 

 

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クラス発表の掲示板に向かうもこっちの表情は何処か凛々しいです。読者である私のほうが余裕のない顔をしています。

 

 

 

 

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……空いた窓から吹き込む桜の花びらが印象的な、美しい扉絵です。
いやあ、この扉絵良いですねえ。複製原画にして売ってくれないかな……。
もこっちの視線の先には、トーンで色づいた1枚……いや、2枚の色づいた桜の花びらでしょうか……何かを暗示しているのでしょうか。

 

 

 

さて、場面は変わります。
主人公のもこっちを差し置いて、最初にクラス発表を目のあたりにするのは……

 

 

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田村さんでした。

田村さん、まるで人生を左右する大学の合格発表のように深呼吸を繰り返します。
恐らく、この漫画の中で一番クラス替えを気にしているのは彼女でしょう。
……あの夜空に願った想いは、果たして届いたのでしょうか。

 

 

 

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ここでフルネームが明かされた真子とは一緒。
まず、一安心といったところでしょう。田村さんは「ふーー」と長い安堵の溜息を吐きます。そして「……」と沈黙が挟まります。もちろんこの沈黙の間に、二人の名前のある場所を目で追ったのでしょう。

 

そして……

 

 

 

 

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誰一人、欠けることなく迎える新学期。

田村さんの願いは届いたのです。いやあ良かった。本当に良かった……良かった本当に……本当に良かった……(涙)荻野に届いたんですね……
普段はクールな田村さん、思わず笑顔を零してしまいます。可愛すぎかよ……
誤魔化すように口元を抑える仕草がこれまた可愛いですね……。

 

 

……っと、隣に誰か立ってますね?

 

 

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こみなんとかさん、遂に参戦!! またクラスに一人やべぇのが増えましたね。
もこっちと一緒なクラスであることが分かってしまい「まじか……」と端的に一言。

 

「いやまあ別に良いんだけど…… なんかなー」
「まあ 伊藤さんとまた一緒だしいいか……」

 

もこっちとは深からず浅からずの因縁のあるこみなんとかさん。
嫌だけどまあ関わり合いになろうとしなければいいか、程度の認識なのでしょうか。
そんな思いを馳せるこみなんとかさんの後ろで「嘘!?」と悲痛な叫び声が響き渡ります。

 

 

 

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南さんと仲良しグループのメンバーが散り散りになってしまったようです。

 

「私一人だけ3-5とかおかしくない!?」
「まこっちいるじゃん」

 

高校生活において誰かとグループを組めないことはコミュニティからの隔絶……即ちぼっちを意味します。教室という狭いコミュニティの中では、社会的死を意味すると言っても過言ではないかもしれません。

 

 

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にも関わらず「まこっちいるじゃん」と何処か他人事めいた(サチ、ノリ、マキのグループを維持できた)メンバーに南さんは苛立ちを隠せません。昼休みだけでなく、授業間の休み時間に絡めるメンバーが居なければ、南さんは耐えられないことでしょう。

 

 

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「あいつ」……それは田村さんのことでしょう。
真子しか話す相手が居ない。もしそんな事になったら、田村さんに真子を取られた時、いよいよ二年生の打ち上げや修学旅行で田村さんに仕掛けた苦痛を、今度は自分が味わわされることになるかもしれません。

 

その時、南さんの背後で岡田さんと加藤さんが挨拶を交わします。どうやら二人とも、南さんと同じ3-4のようですね。

 

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その声を耳にしてか、南さんは冷や汗を掻きながら上位カーストであろう加藤さんと岡田さんに早速接触します。このままではヤバイと相当焦っているようです。
クラス内カーストを維持するためには他のクラスに行ったグループよりも、新しい誰かと仲良くならなければなりませんからね。

 

……この南さんと加藤さん&岡田さんの微妙な物理的な距離が心の距離を示しているようにも見えてきますね……。
加藤さんは誰とでも分け隔てなく仲良くなれるタイプでしょうが、誰かと特定のグループを形成している姿はまだ描写されていません。
一方の岡田さんはイジメを許さない性格です。南さんは過去にもこっちに暴言を吐いたりしているのですが、性格的に合うのでしょうか。もし、些細な会話の最中に誰かを南さんが貶してしまったら、岡田さんは微妙な反応を示すかもしれませんね……。

 

まさか、ここで少し嫌味な印象を与えていた南さんのカーストが下がり、キョロ充的な側面を見ることになるとは。
三年生編では南さんの苦悩や掘り下げ、そして田村さんとの過去が明かされたり、真子を巡って接触があるのかもしれませんね。見逃せませんよこれは……!!

 

一方、背後では吉田さんの姿が。

 

「また別のクラスだなー」
「ああ」

 

タレ目の吉田さんの友人と、クラスが今年も離れた事実を穏やかに話します。

 

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この二人のやり取りは、仲良しグループからはぐれてしまった南さんの反応とは対極的なものです。


南さん友人「お弁当とかうちらのとこ来なよ」
吉田さん友人「まあ今回は隣のクラスだし遊びこいよー」

 

細部は違えど、意味するところは同じ台詞……ただ、二人のその言葉の受け取り方は全く違うように思います。


もちろん、吉田さんが孤独に慣れていて、一人でも大丈夫な性格だからこの会話が出来ているのはあるでしょう。ただ、この二人には南さんには無い余裕信頼があるように見えます。二人(メカクレさん含めて三人の仲はクラスが離れていようが関係ないのです。
南さんの直後にこの二人のやり取りを置いたことで、即座にグループを作りにかかった南さんの余裕の無さが際立ったように感じます。

 

さて、そんなこんなしてる間に掲示板の前にネモの姿が。
……ところで、皆さんお気づきでしょうか?
毎度のこと掲示板発表を見終わったメンバーとこれから見るメンバーが同じコマに書いてあり、これからの視点は「この人物に交代する」事を示してあるのが実に巧みでテンポが良いですね。1ページごとに悶絶していたのでテンポとか言ってる場合ではありませんでしたが。

 

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地味に切れ味鋭い一面を持つ伊藤さんと、内面に秘密を抱え持つネモが並びます。
一方は親友のこみなんとかさんの名前を確認し、
一方は岡田さんからの情報では分かりきらなかったもこっちの名前を真っ先に確認します。
やはりネモは口には出さずとも、もこっちへの好感を秘めているのでしょうか

 

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そこで主人公にも関わらず、数あるメンバーから遅れて参上したのがもこっちでした。
普通の漫画だったらここまで主人公の登場が遅れるのは珍しいと思うのですが、それほどまでに取り巻くキャラクター達の境遇が濃いからなんですよねえ。

そしてコオロギさんよりも拒絶反応を示すもこっち。
まあ、弟のちんこを付け狙うハンターを警戒するのは姉として当然ですね。

 

「また一緒だねー」
「あっ そっ そうだね」

 

リア充モード全開で笑顔を向けるネモにやはり慣れないのか震え声のもこっち。一方、伊藤さんはもこっちの顔を見て何かを思い出したようです。

 

「多分覚えてないかもしれないけど 入試の時話したよね?」
「へ!?(こいつたしかコオロギの友!?)」

 

コオロギの友ってパッと聞いても人間なのか分かんないですね。会報誌か何かか。

 

 

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「うぇーい」のポーズ。ネモと交わしたあのポーズです。

そう。入試の時にもこっちと伊藤さんは隣の席になっていたのです。
もこっちはあの時ノってくれなかった方の生徒である事を思い出し…

 

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「恥ずかしい思い出」だったのか「中学生のノリ」で片付けようとします。
そのやり取りを聞いたネモは……

 

 

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背景にどす黒い瘴気を漂わせながら静かな怒りを露わにします。

 

……さて。ここで一つ気になるのが「何故ネモは怒ったのか」です。


ネモがこの時怒った理由は諸説あると思います。例えば、独占欲による嫉妬説、「うぇーい」をネモとしたことを忘れているのを察した説など。



ネモがどれほどの情報を持っているか(もこっちが「うぇーい」を忘れている事を既に察しているのか、いないのか等)、それも明らかになっていないので推測が難しいところですが……これを読んで私の脳裏に真っ先に過ぎったのは、以下の考えでした。

 


まず、ネモが「うぇーい」に対して抱いている思いの強さを考えてみます。
入試であった頃のネモはまだ髪を染めておらず、敬語口調のいかにも大人しそうな印象の少女でした。
隣の席のもこっちに話しかけられたネモは「うぇーい やったね」とノリ良くもこっちに挨拶され、拳を重ね合わせます。

 

 

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高校という場所(試験会場)で初めて会話した相手が……しかも同じように大人しそうな風貌の少女(もこっち)がこうなのだから、私も変わらなきゃ……という気持ちが沸いたのかもしれません。
おとなしかったネモはこのチャラい「うぇーい」に影響された結果高校デビューを決意したのではないか……と私は考えています(これ以外に入試〜入学間のネモの描写はありません)。このシーンを挟んだのは、そういう谷川ニコ先生の意図があるのではないでしょうか。
だからこそ、入学以後のもこっちの落差にはさぞかし驚き──でも「私黒木だから覚えといて」の言葉通り、もこっちの事をよく見ていたのでしょう。

 

 

 

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もし、ネモにとって「うぇーい」がどうでもいい台詞であれば、モノマネの際にわざわざ「私は覚えている」ことを示すように、もこっちにしか伝わらないであろうこのモノマネを選択しないし、そもそも覚えてすらいないでしょう。(が、伝わるであろう肝心のもこっちは覚えていませんでしたが……)

 


なぜ忘れなかったのか……何故なら自分を変える切欠になったのが、この迷走していた頃のもこっちの「うぇーい」だからこそ忘れられないのではないでしょうか。だとしたら、思いの強さは半端ないはずです。
それの恩もあって、まだ本性を明かす前からもこっちに対して好意的に絡んでいったのではないでしょうか(もしリア充を演じるだけなら、わざわざぼっちを相手する必要はないはずです)。

 


が……それをもこっちは「あれは中学生のノリというか……」と恥ずかしがって誤魔化したのです。
ネモにとっては大事な「うぇーい」に対してそんな素になってしまったようなことを言われ、ネモは
「え……今、私を変えたきっかけになった思い出を『中学生のノリ(で恥ずかしい)』って言った? へぇ……黒木さんも普通の子になったねぇ?」
と、怒ったのかなと。

 


この説、書いておいてなんですが……めっちゃ重いですね。
……もこっちはあれですね。女心を弄ぶのが上手ですね。

 

 

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ちょっと怖い目つきのネモ。まあ何をしても可愛いんですが、その時黄色い声が響き渡ります。どうやら雌猫の間グループのメンバーが全員同じ3-4に所属することになったようです。

6人だよ!?」「まじ奇跡だよ──!!」歓喜に震える5人

 

 

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掲示板の前で硬直するうっちー……親友であるはずのポニテの言葉は胸には届かないようです。
どうかしたんでしょうか。余りにも6人が揃ったことが嬉しくて放心状態なのでしょうか。まあ、うっちーはキョロ充ですもんね。グループは大事──

 

 

 

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──人間は到底受け入れがたいような強いショックを受けた時、無意識(スーパーエゴ)からショックを軽減するための防衛機制が働くと言います。フロイトが提唱した概念です。
その中の一つに退行が存在します。

 

 

到底キョロ充(常に人目を気にしてグループの一員であろうとする人)とは思えない幼児退行を引き起こしているうっちーですが、彼女を責めることは出来まい……防衛機制なんだからしょうがありませんね。可愛いから許してあげましょう。子守をする他のメンバーが毎度のこと大変そうですが。

 

 

 

──その時です。

 

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崩れ落ちる敗者を一瞥することもなく横を通り過ぎる女子生徒が居ました。
顔文字一族の一人であるポテンシャルさん [私モテWiki]です。

その似通った顔に思うところがあるのか、幼児退行したうっちーは泣き止みます。

 

 

 

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同じ顔文字一族といえど、運命は大きく隔たれたようです。

 

「3-5か」
……にしても、初ゼリフがこれです。決められた運命を静かに受け入れるポテンシャルさん……この齢にして帝王の器を備えているのでしょうか。

 

唐突ですが、ここで皆さんに謝罪したいことがあります。

私は ワタモテレビュー喪119「モテないし打ち上げに行く」において、ポテンシャルさんの再登場に際し

 

「話の本筋的には登場しなくても支障はないはずなので、これは完全にポテンシャルさんファンへのファンサービスだと思われます。」

 

などとふざけた事を抜かしていました。大変申し訳ありませんでした。
どうやらあれは谷川ニコ先生の予告ホームランだったようです。

閑話休題

 


「クラス替えごときで騒ぎすぎだろ」

 

騒ぎを作り出したある意味元凶であることなど露知らず、もこっちはその場から離れます。

 

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そして「絵が描ける安藤」などと失礼極まりない事言ってますが、ハンコ絵でおなじみの初芝くんがお久しぶりの登場です。
……今のもこっちなら初芝くんが自分に惚れてない事実には気づいてくれそうですね。

ここでもこっち、「なんか面識ある奴多いな……」と、このクラスがオールスター感謝祭状態である事に気づきます。赤ちゃんは除く

 

 

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「黒木さん また同じクラスだね」と真子に話しかけられるもこっち。
そして「夢が叶ってよかったね」なんて言われる田村さん。あの駅のホームの会話がなければ、きっと「夢」とは捉えられなかったでしょうね。
「いや別に夢じゃないから」とすまし顔の田村さんですが、きっと内心では照れていることでしょう。あんなに祈っておいて、夢じゃないなんてことはありません。

 

そしてもこっちの視線の先には小宮山さんが……。気まずい空気が一瞬流れますが、お互いに沈黙します。多分触れ合いたくないんでしょうが、これから神のいたずらで嫌でも触れ合うことにはなりそうです。

 

 

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そしてナチュラル畜生の荻野先生が登場ですが、今回ばかりは荻野先生に一つ言いたいことがあります。
ありがとうございます。

 

(担任はアレだがクラス自体は知り合い多いし無難に過ごせそうだ……)と安心するもこっち。その時、毎年恒例の自己紹介タイムがやって来ます。成長したもこっちなら、今年こそ無難にこなしてくれそうなイベントです。

 

 

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……が。隣のネモは無難に終わらせないようです。


「いや普通に自己紹介するだけだけど……(大体去年のはお前のせいだろうが……)」
「そっかー」

 

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ネモは煽っているのか……それとも、少し何か感じ入るところがあるのか。普通の子になったんだね」と頬杖をつきながら口にします。
……ここのネモ、服の色がどことなく水彩チックになっていて、少し切なさのようなものを感じてしまいました。黒木さん「も」……ひょっとしたら、自分と重ねているのでしょうか。


「うぇーい」を恥ずかしい思い出と振り返り、自分の痛い一面を晒さなくなる……。
──それは、以前までのもこっちとは確かに違います。客観的に自分を見る力が備わったからこそ、ネモとは演じるレベルが違うとはいえ、同じように本当の自分を隠して無難に過ごせる力を得たのです。それは成長です。
……ですが、ネモがもこっちに求めている姿は、そうではないのでしょうか?

 

 

 

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そして「趣味は読書」と無難でありきたりな一言で締めくくろうとしたもこっちに、もはやネモは目すら遣りません。

……そんなネモに、もこっちは憤りを覚えます。

 

 

 

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もこっちはリア充リア充で大変だ」ということを、食堂の一件からも十分味わっていました。
ですが、その生き方はつまらないのです。

 

……そのつまらなさを、ネモは入学してからの二年間、ずっと味わっていたのではないでしょうか。

──少なくとも高校に上がってからは、ネモは「いつだって空気読んで空気読んだ発言とウケしか狙わない」人生を送ってきました。
空気を読まずに「このアニメ嫌い」といえる相手は、もこっちだけでした。

 

 

(お前らと違ってこっちはほぼ2年間ぼっちでお前らを見下しながら生きてんだ なめんな!!)

「あー それから……」

 

 

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勇気と意地の自爆。

 

 

 

 

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「まーた黒木さんがちょっとバカな事やってる……」と思っているであろう田村さん以外は口をぽかんと開けています。
中でも、一番汗を掻いているのはネモです。自分が焚き付けたにも関わらず、です。

 


……もこっちのこの発言は、「ぼっちの意地」というしょうもないもの、と片付ける事が出来るかもしれません。

ですが、それでも。本当の自分を隠し恥ずかしい思いをすることを極力避けてきたネモだからこそ、自分の意志で自爆することがいかに難しいかを誰よりも理解できるはずです。並大抵の人間には決して出来ないことなのです。私だって絶対にできません。

 

 

 

ですが、やはり津波のように押し寄せてくる感情と震え──あまりにもの恥ずかしさに「思い出せ……!」と強く念じながら目を閉じるもこっち。

 

 

 

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「あの時」の内二つが荻野先生絡みなのがやっぱりこの人駄目だな、と思わせてくれますね。 
右上は言わずとしれた読者ときーちゃんの心を折った名シーンですが、イケメンもかなり辛かったんですね。まあ逃げ出してましたもんね……。

 

そして、恥を十分すぎるほどに掻いたもこっち。昔の自分だったら受けるだろうと思っていたであろう自己紹介を、ウケないのが分かっていてしたのですから。

 

 

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──今度はもこっちの方が挑発的な視線をネモに向けます。
……その裏で、もこっちより恥ずかしい自己紹介をしている人が居る気がするんですが気のせいでしょうか。多分この「ロッテの一軍選手のOPS暗記してる」って部分、本気でウケると思って喋ってそうなのが凄い辛いんですが……。

 

 

「2年間ただ人間強度を高め 幾千の恥と修羅場をくぐり抜けて得たメンタルをなめるな」

 

もこっちのキョロ充とは余りにも程遠い振る舞い。これほどまでにこの台詞に説得力のある人間はそうは居ないでしょう。

 

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あれだけ恥をかいた後にも関わらず、ぼっちとしての誇りを取り戻したもこっちは不敵な笑みを浮かべます。
一方のネモも不敵な笑み。まるで二人はライバルのようで──

 

 

 

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──お互いに高め合う友達のようでした。

 

 

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ネモは心の壁を破り、あれだけ大っぴらにすることを避けていた声優になる夢を、クラス全員の前で口にします。

 

 

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……言いたくはないでしょう。あの廊下のシーンでの影は、ネモの厚い心の壁でした。影から僅かにはみ出た靴のつま先は、僅かばかりに晒した本心をそのまま示しています。


「アイツ、アニメオタクなんだ」「痛い自己紹介だ」「しかも声優とか。現実見ろよ」
と思われ、これまで積み上げてきたリア充としての上位スクールカーストから一気に転落しかねない行為です。
これまで積み上げてきたものを一気に崩しかねない、一見何のメリットもない行為を二人はしたのです。

 

 

清田くんは優しい生徒です。きっと何をカミングアウトしても優しく対応してくれるでしょう。
……ですが、それでも勇気は死ぬほど要るはずです。清田くんだけの問題でもないのですから。

 

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「本性偽って仲間同士でぬるく生きてきた人間には無理だろう」とたかを括っていたもこっちも、口をぽかんと開けています。

 

 

 

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なんでもないようなすまし顔のネモですが……その腕は小刻みに震えています。その震える意味を、もこっちは理解しているはずです。

 

 

 

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「ぼっちのやり方」──ネモは今までずっともこっちの事を見てきたのですから、
もこっちがず~っとぼっち生活を過ごしてきたこともやはり知っていたようです。

……もしもの時は、ってそれってつまり「責任取ってよね」ってことでしょうか。

 

 

今回、余りにも豪華なオールスターメンバーの境遇とこれからの運命を描きつつも、これまでヴェールに包まれていたネモの胸中がかなり明らかになった回ではないでしょうか。

 


ネモはひょっとしたら、周りを取り繕うという行為を余りせず、素を見せるもこっちに対してある種の憧れのようなものを抱いていたのかもしれません。
だってネモは、本当の自分をずっと押し隠していた訳ですから、立っている場所は同じでも、向いている方向は真逆の存在だったわけです。
ところがもこっちの最近の成長に伴い、以前までのもこっちの痛々しさは何処へやら……といった状態になってきました。
そこで今回の原点回帰のようなシーンをネモの影響で見せられることになるとは。してやられた、という気持ちでいっぱいです。

 

私は「もう二度ともこっちは自己紹介で失敗しないだろうなあ、っていうか失敗してほしくないなあ……」と思っていましたが、まさかこう来るとは思いませんでした。
かつてのもこっちらしい、どこか懐かしい姿を見ながら、メンタルの強い面を見せつけられるとは……。二年生の時は机に突っ伏していたことを考えるとありえないぐらいに、そちらの面での成長も見せているわけですからね。

 

 

ところで……先程「一見何のメリットもない行為」と言いましたが、二人の間にあった心の壁は取れたと思いますよ。

つまり何が言いたいかというと……

 

 

 

 

ネモもこ、来てます。(Mr.マリック)

 

 

 

 

追記(10/6 10:37):申し訳ありませんが、一つだけ追記させてください。

見識のあるフォロワーの方が最後のページで花びらが落ちていることを呟かれていたのを見て初めて気づいたのですが、最後のコマに二枚の色づいた桜の花びらが描写されていることを私は見逃していました。
扉絵から始まり、ようやく最後に地面に落ちた二枚の色づいた桜の花びら。
風に流されてはぐれることもなく、寄り添うように一緒だったようですね。
……そしてこの二枚の花びらは、ネモともこっちが心を交わした後に描写されていますよね?

 

……来てますよぉおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!111!!!!!!!11111!!!!!(突然 興奮する患者)

 

 

 

 

 

 

 

 追記2(10/6 19:45)

最後だけでなく、色づいた桜の花弁を全ページに渡って探してみてください。何回読み返せばこの漫画は足りるのでしょうか……いやぁ、これは……。