場末の。

ワタモテの感想記事がメインです。たまに他の話題を取り扱った記事も投稿します。※現在更新をお休みしております。

ワタモテレビュー喪129「モテないし教えてあげる」

2月1日(木)に、待望の私がモテないのはどう考えてもお前らが悪い!の喪129「モテないし教えてあげる」が公開されました!

 

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人間関係がねじれ合う遠足編、その勢いは留まることを知りません。
前回、加藤さんと岡田さんに遂に見放されてしまった南さん
そして、加藤さんの計らいで距離をおいていたネモと顔を合わせることになった岡田さん
渦を巻く騒動のど真ん中──まさに台風の目からその様子を見つめる主人公・もこっちは何を思うのでしょうか?
そしてやっぱりそこは主人公、何もしていないのに巻き込まれ……!?

 

 

 

 

 

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今回のプレビュー画像は小陽ちゃんこと南さんです!
ここ最近サブキャラクターの名前がどんどん明らかになってますね。

 

 

 

 

 

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人の笑顔に満ち溢れる遊園地の喧騒の中、ただ一人沈んだ顔で溢れる涙を拭う南さん。
そんな南さんに声をかけるのは──かつてつるんでいたグループ(サチ、ノリ、マキ)の面々でした。相変わらず目が描かれない面々ですが、そのことに意図が感じられますよね。(メカクレとかそういう属性でなく、のっぺらぼうのように)目を描かれていないことで、キャラクターとしての息遣いや人間味が感じられませんからね……。
恐らくは一人でいるところを見られたくはなかったであろう南さん。「あっ……」と言葉を詰まらせてしまいます。
そしてグループの面々は南さんが一人ぼっちであることを察し……

「うちらと回る? ついて来てもいいよ」

と口にします。「もし一人なら一緒に回りたいし行こうよ」という体ではなく、あくまで「一人で寂しいってんだったら拾ってあげてもいいよ」というような、上から目線な印象を与える台詞です。なんというか、薄氷のように薄くて脆い人間関係が垣間見えます。後述する雌猫の間グループと比較すると、それが余計に際立ってきます。
「3−5の人と一緒に回るって言ってなかった?」という台詞からは、南さんが誘われたのに一度断った事が察せられますし、その影響もあるのかもしれませんがなんとも寂しい話です。

 

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かつての南さんもこのグループのメンバーに対し、「まこっちしか居ないんだよバカ」と、メンバーをバカ呼ばわりしつつ真子の存在を軽視していました(これでは人数のほうが大事、質じゃなくて量だろというニュアンスに感じ取れます)からね……。
あくまで「ぼっちじゃなくて誰か大勢と群れている」という事にステータスを置き、個人個人を軽く見ていたしっぺ返しのような気もしますし、この上から目線の台詞は他人の悪口を頻繁に言うグループのメンバーに相応しい言動とも捉えることはできそうです。

 ……そんなその上から目線の言葉に素直に頷けるはずもない南さん、「はぐれただけだよ 今連絡取ったし」と強がりを言ってしまった結果、呆気なくファストパスの制限時間に負けてしまい、また一人ぼっちになってしまいました。
……数少ないぼっち脱出のチャンスを自ら手放してしまった南さん。その精神状態は更に追い詰められていそうです。
その一部始終を見つめていた真子、うっちー、田村さん。
田村さんはぽかんと口を開ける真子の様子を一瞥すると……。

 

 

 

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……!

私はてっきり、田村さんは南さんのもとへ向かおうとする真子を制するのかと思っていました。
そうではなかった。むしろ、全くの逆。引き止めるのではなく、寧ろ真子の気持ちを察し、尊重して背中を押したんですね。
田村さんとしては本当は言いたくない、かなりしんどい台詞だった(この後でそれを匂わせる描写も出てきます)でしょう。

 

 

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修学旅行において、南さんの元へと真子が向かったことで二人の間には大きな亀裂が生じました。
そして真子はその事を「裏切った」と認識しており、真子にとって大きなトラウマになっています(例のガチレズさん回で嘔吐してしまうぐらいです)。
きっと、真子はこの田村さんの台詞がなければ南さんに向かって一歩を踏み出すことが出来なかったことでしょう。

 

敵に塩を送る、とでも言いましょうか──焼肉の一件といい、これまでの描写を見ても、南さんが田村さんにとっての嫌な存在であることには変わりないのです。
修学旅行の時とは違って「待ってくれている人が居る」のも大きいとはいえ(当時は真子がいなければ一人ぼっちだった)、まさか自ら親友であるところの真子の背中を押すなんて……。これは成長なのか、それとももともと持っていた田村さんの優しさなのか、それとも両方なのか。いずれにせよ、この田村さんの行動には本当にこみ上げるものがあります……。

 

ですが、あくまで背中を押すだけに留めるようです(待ってくれている人達も居ますからね)。
「……ゆりも」と口に出す真子でしたが、それに「私は行かない」と返す田村さん。
真子のその先に続く言葉を遮ってまで否定したことから強い口調、強い意志による否定が感じ取れます。それだけ南さんへの心象が悪く、「絶対に行きたくない」現れでしょう。
そして真子はこれだけ田村さんが南さんのことを嫌っていることを承知の上で「……ゆりも」と言っているのですから、きっとこの三人は昔は仲が良かったのでしょうね。何やら致命的な仲違いイベントがあったことが推測できますが……。

 

 

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そして、そのやり取りの一部始終を見届けたうっちー。
最近のうっちーは蠱惑されて以来、もこっち以外の事・人に関心を示しているようなシーンがあまり無かったのですが、
「……いいの?」と田村さんに問いかけてくれたこと……もこっち以外の人間関係にも気を遣う一面を見せてくれたことが嬉しかったですね。
「(本当に行かなくて)いいの?」なのか、それとも「(引き止めなくて)いいの?」なのか──。
恐らく前者ですかね。それに対しての答えが「……私は(南さんと)仲良くないから」だと思いますし。


そして真子と別れ、もこっちへの元へと帰る二人でしたが、その時……
遂にうっちーが雌猫の間グループに見つかってしまいます。
ひっそりと取り出したスマホでついた「例のあの人がかわいそうだからついていってあげる」というウソがなんとたった一話で破綻しかけてしまいます。
「違くて……」ともこっち、小宮山さんも愛用する言い訳フレーズが飛び出しますが、果たして……。



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……!!

うっちー……なんと友達に恵まれているのでしょう。
「来てもいいよ」と上から目線の言葉を掛けられた南さんと「なんでもいい」「一緒じゃないとつまんない」と有無を言わさず、腕を強引に引っ張られてまで同行を求められるうっちー。あまりにも対照的な扱いです。
雌猫の間グループの面々が仲間思いであることは勿論のこと、うっちーに人望が無ければこの台詞は絶対に出てこないでしょう。ここ最近は蠱惑されて愛に目覚めたせいか暴走気味なうっちーでしたが、蠱惑される前やスポットライトに当たらない場面(もこっちが関わらない場面)では、うっちーはグループの仲間を大切にしていたのでしょうね。

私としてはどうしても、もこっちのことを「例のあの人」呼ばわりしたり、からかうような態度が時折見られたこともあり、正直に言うと雌猫の間グループの面々への心象があまり良くなかったのですが、このシーンで少し印象が変わりましたね……。しかも、身内だけでなく田村さんにまで優しい態度を示しています(うっちーの友達だと判断したのかもしれませんが)。
この場合の「田村さんも来る?」は南さんへの「来てもいいよ」とは違って相手の意志の尊重、気遣いのニュアンスを感じます。南さんグループの場合は身内(だった)相手に対してアレですからね……。

 

 

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ここで田村さん、うさ耳を外しながらやんわりと断りを入れます。
うさ耳を外したのは、会話のスポットライトが当たったことで雌猫の間グループの面々の視線が田村さんに集中したので恥ずかしくて外したとかでしょうか?だとしたらほんまこの子可愛いですね。いやはやなんて所作が細かい漫画なのでしょう……。

 

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……そして、どうやらうっちーとはこの場でお別れになってしまいそうです。
嗚呼……ここ最近は毎回供給されていたうっちーの暴走がしばらく見れなくなるかと思うと寂しいですね。
うっちーもまだやり残したことがたくさんあるのか、名残惜しそうに田村さん……つまりもこっちグループの方向へと振り返るうっちー。ですが宮崎さんがこんなにいい笑顔をしているので、家族サービスならぬ雌猫グループサービスということで皆の友情に応えてあげてほしいところです。背景からの脱出も叶いましたし、これからの活躍に期待したいですね。
雌猫の間グループがもこっちを例のあの人扱いしない日は来るんでしょうかね。やはり戦犯はスマホち◯こ事件なんでしょうか。クラスのイケメンも覚えてたし……。

 

 

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……一人になったところで、重たいため息をつく田村さん。
思うところのある南さんの顛末を見届け、自ら親友であるところの真子を送り出し、平静で居ろという方が難しいのかもしれません。
「戻ろ……」というコマでは、ワタモテでは肯定的、プラスな感情を示すシーンでよく使われる光のエフェクトが使われていますから、真子の為を思って送り出したことが、田村さんにとって良い結果に繋がることをただ祈るばかりです。

 

 

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場面は代わり、加藤さんが吉田さんの熊バッグ(雌猫の間グループも皆お揃いで持ってましたね)を褒めるシーンに切り替わります。
褒められた吉田さんも満更でもない様子でいい笑顔です。ディズニー関係の吉田さんはかなり査定が甘く(ある意味厳しく)なるのでグンと高感度が上がってそうですね。
そして立て続けにもこっちの耳を褒める加藤さん。オイオイオイ コミュ力モンスターだわアイツ(加藤さん)。
「へへへ……」とだらしない笑顔を浮かべるもこっち。オイオイオイ 落ちかかってるわアイツ(もこっち)。
一方の岡田さんはそっぽを向いている状態で、ネモはその岡田さんの背中を吉田さんの傍で見つめます。
吉田さんは田村さんが帰ってきたことに気づきますが、それと同時に人数が減ったことも気づき……

 

 

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うっちーに「わたモテのさっぱりした奴」という新たな愛称が爆誕してしまいました。
確かに……確かにさっぱりしてるけど!!(見た目が)

真子が居なくなったことへのリアクションとして、
田村さんは「うん…」吉田さんは「……そうか」と三点リーダーが使われています。二人とも、やはり真子が居ないのは寂しいみたいですね……。


そして二人入れ替わる形で改めて出発する一行。
その中心には我らが主人公、もこっちが変わらず居ます。
「ネモと岡田さんが同じグループに居て、一緒に遊園地を回る」という事実に、
(まさかこいつらと遊園地回ることになるとは 一年の時を考えると思いもよらなかったな…)
と、一種の感慨深さを覚えているようです。
思えば一年生の時から、ネモや岡田さんと同じクラスだったものの繋がりは無かったもこっち。
ですが、必然というかなんと言いますか、数奇な運命を経てこうやって一緒に歩いているというのが読者目線から見ても感慨深いですね。
一年生当時のネモや岡田さんは、あくまで「クラス内に居るリア充」という記号的な表現でしか描かれていなかったですから。

そして、当時と比べるとめっきり減ってしまったもこっちのモノローグで、今の状況に対する心境が綴られます。
ネモと岡田さん(「凸」と呼んでいるのが面白い)のケンカ、南さんのケンカ別れ、そして真子とうっちーの離脱……。
傍観者的な立場から立て続けに起きる人間関係のこじれを見つめていくもこっち、「女のグループは面倒なのか?」という疑問を抱き始めます。


実感がないせいでまるで他人事のような感覚を抱いているようですが、南さん絡みでない問題にはもこっちが少なからず絡んでいるのも面白いところです。それにここには挙げられていませんが、田村さんの名前呼び騒動もあるわけで、もこっちが気づいていないだけで地中にしっかり埋まっている地雷もまだまだ存在している訳ですが、もこっちは無事に爆発させずに通過できるのでしょうか?

 

 

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場面は切り替わり、汽笛を鳴らす蒸気船の上で「クロあれ見て! なんかいる!」と、もこっちの新たな愛称を口にしながら遠方の景色を指差すネモ。
そんな付き合い始めのカップルのデートのような微笑ましい光景を目にした加藤さん、「二人ともいつの間にそんなに仲良くなったの?」と思わず聞いてしまいます。
恐らくは単純な興味もあるのでしょうが、岡田さん絡みの問題でもあるので聞いておきたかったのはあるのかもしれません。
が、「い… いや別にそんなには…」と「仲良くなった」部分を否定しようとするもこっちの言葉をネモって 呼んでたんだよね」と素早く一刀両断するネモ。


……いや、面白いですよ。この台詞、さりげないかもしれませんがすごーく面白いです。
まずこの台詞は、加藤さんに対して「クロは照れ屋だから認めたくないだけで実際に仲良いよ、だってクロは私のことを以前から特別な愛称で呼んでいたぐらいだよ」という経緯を簡潔に伝える意図があると推測されます。
これの何が面白いのかというと、例えば「仲良くなり始めたのは二年生の時からかな~」というような普通の返答では、あくまで「ネモが一方的に仲がいいと思っている」可能性を否定できない(お互いに仲良しだと思っていることを証明できない)のです。だから「クロは前から自分のことを愛称で呼んでいた」という事実だけを提示したんですね。そうすれば、仮に「別にそんなには」という否定がもこっちの本音だったとしても、急にその言葉の説得力が無くなって「ただの照れ隠し」という印象を加藤さんに抱かせることが可能なわけです!

その上「ネモって」の部分だけフォントサイズが大きい(その上、吹き出しが少し分断されている)ので、まず何か急いで大きく言葉を発してもこっちの言葉を制そうとする意図が感じられます。そしてもこっちの言葉を遮った後は普通の声量に戻してゆっくりと話すことで、「早口&大きな声でまくし立てる=必死さ」を無くし、発する言葉に余裕を持たせ、発言の印象を信憑性のあるものにしているのです。
にこにこと終始笑顔を浮かべたままのネモですが、その裏では仲良しであるという事は決して譲りはしないという強靭な決意を感じられますね。

 

 

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そしてわざと距離を置きながらもネモのことが気になってしまうのか、そのネモクロのやり取りに目を遣ると舌打ちする岡田さん。
……そして岡田さんの舌打ちに最初視線が行ってしまい初読時は気づかなかったのですが、田村さんの表情も実に険しいです。ネモに対しての警戒心は常にMAXな様子ですね……。

 

 

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↑田村さんのネモへ向ける鋭い視線はSBR主人公、ジョニィ・ジョースターを彷彿とさせる。「根元……まだ推定無罪だが 変な動きをしたなら即!掴んでやる……」

 


一方、二人が険悪なムードである事に気づいたのか「根元と喧嘩してんのか?」と声をかける吉田さん。
「あんたには関係ないでしょ」と突き放す岡田さんでしたが、「あるよ 私も一緒だ」と、岡田さんと同じ問題を抱えている事を明かします。
同じ痛みを抱えている人間が、一番その人の痛みを理解してあげられるものです。その点吉田さんは完璧な導入で、不幸なすれ違いから友人と喧嘩別れしたこと、そして自分は悪くない(?)ことを伝え、その上で「自分から折れてやるつもりだ」と、友人を許してやるつもりであることを口にします。
最初は突き放そうとしていた岡田さんでしたが、その吉田さんの大人な態度と真摯な言葉に耳を傾けます。
そして一体何があったのかの説明を求めますが……。

 

 

 

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研ぎ澄まされたマジレスの刃が吉田さんを襲う──!!

 

吉田さんは超真面目に言ってるのでマジギレ、岡田さんも「ちょっと真面目に聞いちゃったじゃん!!時間返せ!!」とつかみ合いの言い争いに。
これはあれです、岡田さんの言っていることは至極そのとおりなんですが、吉田さんはピュアヤンキーなので判定を甘くしてあげないとですよね。
確かに吉田さんはこの遊園地に入ってから幾分か精神年齢が低下しつつありますが、岡田さんの事を思いやって「まあ、何があったのか知らねーけど根元のことを許してやれよ」と言いたかったのは確かですからね。とはいえ真剣に悩み、思い詰めているからこそ「そんなことかよ!悩みの次元が違うんだよ!」とつい言いたくなってしまったんでしょう。状況的にも精神的余裕はあまり無さそうですからね……。
そのギャグチックではありながらも激しい言い争いに思わず止めに行く加藤さん。船上の激しいやり取りとは裏腹に、蒸気船は変わらぬ穏やかな速度で終着点へと向かいます。


そして肩を揺さぶられた時に髪が乱れたのか、それともこれから乗るスタージェットの為かは分かりませんが、岡田さんはついに髪留めを外します。
そしてもこっちは岡田さんの隣席になるようです。
(こいつ隣かよ 嫌だな……)という余りにも率直な感想を抱くもこっち。(よし 無に……)と極力絡まれないようにしたいのか順番待ちの段階でデフォルメ化の術を唱え、目が小動物的ないつものジト目になるのですが……。

 

 

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その術は岡田さんには通用せずあっさりと破られ、ずっともこっちに対して抱いていたであろう「いつからネモと仲がいいのか」という疑問をぶつけます。
「そもそも仲良いかもわからない」と、震えた声で俯き気味に返答するもこっちでしたが、「ネモの声優になりたいという夢を知っていた」「私には絶対に言わないし隠してたことをあんたには教えてた」という、岡田さんの心の中でずっと引っかかっていた要素を突きつけます。
「一年の頃からの親友であるはずの自分には夢を明かさず(「おヨメさん」とはぐらかし)、いつの間にか仲良くなっていた黒木には明かしていた」……そのことに大きなショックを岡田さんは受けたのでしょう。前回、「なんで黒木なんかとつるんでんの」という台詞がありましたが、やはり「どうして一番の親友である自分を差し置いて」というニュアンスだったのでしょうね。相手が誰だとかじゃなく、誰だろうと納得できなかったのです。
岡田さんからすれば、突然横から親友を掻っ攫われたようで納得できないのも頷けます。ちょうど、田村さんがネモに対して抱いている感情に近いのかもしれません。

 

そしてオタク目線からの「声優目指してるって友達には言いたくないし……」「私かわいいです アイドル目指してますって言ってるようなもんだし」という意見を、もこっちは震えながらも口にします。
それを岡田さんは理解できません──何故なら声優という職業への理解と知識が足りないからです。
「声を入れるだけの仕事」という印象からか、「アイドルは関係ないだろ」と返す岡田さんに、

 

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突然震えがピタッと止まり流暢に、そして少し大きめの声(太字)で喋り始めるもこっち。まさに水を得た魚といったところでしょうか、自分のフィールドになると急に元気になるのはオタクの特徴ですよね。分かりみが深いです(現代オタク用語)。
そして「普通の人は知らないけど」という何気ない言葉……そう、岡田さんはもこっちとの決定的な差である「オタク」の壁に阻まれます。
……岡田さんは苦悩したことでしょう。「自分に何か至らない事でもあったのか」「打ち明けてくれない要因があったのか」と。
それが「ネモの目標に対する理解が足りないことだった」と会話の中で呆気なく気付かされ、岡田さんは眉を顰めます。岡田さんは「声優の事(ネモのなりたいもの)を知ってるつもりでいた過去の自分」を悔いているのでしょう。
……そんな中、もこっちの声優知識披露はどんどん脱線し始め、何やら偏った方向へと舵を切り始めます……。

 

そのまま「普通の人」相手に「エロゲー出演」の話題もバンバン出していくもこっち(こういう所にネモは惹かれるのかもしれませんが)。
そしてエロゲーが何なのか分からないピュアな岡田さんに対し、「Hしてるキャラのエロい声をネモ… 根元さんがやるんだよ」と、超ド直球に伝えます。

 

 

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ネモがHしてるキャラを演じるところを想像したのか、固まる岡田さん。

 

「べ… 別に全員や…やるわけじゃないんでしょ?」と震える声で聞き直す岡田さんに、「クレ●ンし●んちゃんとか一家全員でやってるよ」と具体例を提示するもこっち。

 

 

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あの国民的アニメも一家総出で出演しているという事実に心を折られかける岡田さん。
もこっちは意識してないと思いますが、ネモが出演しているところをイメージさせる言い回しとあまりにも絶望的な具体例の提示……最速で岡田さんの心を破壊するRTA(リアルタイムアタック)にチャレンジしているのかと見紛うほどです。
とはいえ、Hといえどその表現には当然幅があるわけです。「洋画とか…エロいシーンあるし そ…そういうのでしょ?」と、震える声で自分が納得できる位置に着陸してくれることを祈る岡田さんでしたが……。

 

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岡田さん、過酷な現実に精神崩壊……。
ってか夢の国で何再生してんだよもこっち!!!(同時に、もこっちらしい破天荒?な行動が久しぶりに見れて嬉しいです)

 

その後は魂を失った抜け殻のように、光を失った目のままアトラクションに搭乗する岡田さん……一言も喋らなくなった岡田さんに汗を流しながら心配そうな視線を向けるもこっち。(やべえ……やりすぎたかもしれん)と思っているのかもしれません。
岡田さんがそんな状況になっているとは露知らず、この団体行動中にすっかり仲良くなったネモは、吉田さんと景色を指差しながら談笑していたのですが……

 

 

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……が! フリーズしたパソコンが数分後に重たい処理をようやく完了したかのように、過酷な声優の現実(※偏りがある情報)をようやく認識した岡田さんは「ひな────!!」と絶叫!(アトラクションに乗りながら)
その必死の呼びかけに誰もが反応を示しますが、乗り物が苦手な田村さんは高所恐怖症のせいかそれどころではなく必死に目を閉じて肩を縮めているのでした。(かわいい)

 

 

そしてネモの名を叫んだ岡田さん、スタージェットから降りるなりにネモの手首を掴み、有無を言わさずグループから少し離れた所まで移動します。
そこで険しい表情で「声優なんてやめなよ」「陽菜のために言ってんだよ!」とネモに強い口調で忠告します。
……が、他人に夢を否定される覚えはないネモは困惑した様子です。
そんなネモに「声優ってエロいことやるんだろ!そんなのダメだ!!」と、親友にHな演技をやらせないために偏った声優知識に基いて必死に思い止めようとします。
情報元は勿論我らがもこっちです。ネモは(クロ……バカなことふきこんで……)と呆れながら、岡田さんを「別に声優全員がやってるわけじゃないから」と諭そうとしますが……

 

 

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岡田さん!伏せ字!伏せ字ぶっ飛んでますよ!!


もこっちの物的証拠(おにい~ちゅわ~ん!!!)と状況証拠(オラの母ちゃんとひまわり)がどうやら岡田さんに相当効いたらしく、ネモの弁解を信じることができないようです。もこっち、逆転裁判の検事側で出演したら強キャラになれそうです。
(そもそもこういう状況において、強く疑われている側の弁解は中々聞き入られづらいという傾向にあるとは思いますが…)
そしてついに、「…なんで本当のこと言ってくれないの そんなに私のことは信用できない?」と弱音を吐いてしまう岡田さん。
この弱音からは、「声優の夢を語ってくれなかったのは自分を信用してくれなかったから」という不安を抱いていたことがここから読み取れますね。
……が、ネモにも岡田さんの態度に思うことがあったようです。

「…………でもさ」「あーちゃん 私が声優目指すって言ったら無視したよね?」

どうやら、ネモは「岡田さんはリア充でオタク側ではない人間だから、そもそも声優という職業に否定的な考えを持っているだろう」という考えがあり、そのせいで声優を明かした途端無視するようになったという風に思っていたようです。

 

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……が、真実はあくまで「ネモが本当のことを言ってくれなかったこと」に対して怒っていた……つまり声優がどうのこうのは関係なかったのですね。
ネモは意外にも、この「親友に対して夢を明かさなかったこと」が原因だったという発想には至らなかったようですね。てっきり私はネモがそれを理解した上で、気まずいから声を掛けることが出来なかった、という線だと予想していたのですが……

逆に言うならば、自分がそんなに大事に思われているとは思っていなかった……ということなのでしょうか。
何故ならこの思考は、大切な親友相手でなければ起き得ないものですから、自分が相手にとって大切な存在であるという自覚がなければいけませんからね。
もしかしたら、ネモは自己評価が低いタイプなのでしょうか?

 

そして「今こうして声優やめろって言ってるけど それでも…最初に相談して欲しかった」とうつむきながら声を漏らす岡田さん。
一年生の頃からずっと「ネモの一番の親友」であるポジションに居た岡田さん。
前述しました、「どうして自分を差し置いて(黒木に)」という思いが、よりはっきりと見えてくる発言ですね。改めて、本当に心情描写とその流れが丁寧で自然な漫画だと思わされます。

 

そしてその岡田さんの気持ちを……自分を大切に思ってくれる気持ちを理解したネモの口元には笑みが浮かびます。
ずっと黙っていたことを謝罪しつつも、声優はやめないし、もこっちの言うような仕事があることも認めます。
それに「別に強制じゃないし嫌な人は断れると思うよ 多分ね…」と付け加えるネモ。
……そう。嫌な人は。

 

 

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ネモと岡田さん、二人の影が重なり合います。
陽の当たるところには影が生じます。ネモと影は名前に「陽」の文字があるぐらいですから、やはり切り離せないのかもしれませんね。
喪97において、もこっちに隠しているオタクの自分を少しだけ明かしたシーンでは、闇に染まる影の中に姿を置きつつも、靴の先っぽだけが日光に当たるという演出が非常に巧妙でした。
そして今回のシーン……日の当たる世界で近づく二人の影が重なり、より濃い黒色へと染まります
これは、二人の間の友情がより深まったことを象徴する演出なのでしょうか。
……。それとも……。

 

 

 

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そんな二人の様子を遠目に見つめていた一行(田村さんはグロッキーになっていたせいかベンチで俯いていましたが)。
加藤さんはてこでも動かない岡田さんを一体どうやってネモの元に向かわせたのか気になるようで、もこっちに「茜となにを話してたの?」と聞いていますね。
確かに加藤さんからすれば、もこっちは恩人ですよね……このグループに参加したのも岡田さんの為を思ってのことでしょうから。
それに対して「いやたいしたことでは……」と謙遜するかのような台詞を言うもこっち。いや結構とんでもない事言ってましたよね!?加藤さんには絶対エロゲーの話題とか出来ませんよね……。
……とはいえ、もこっちがあれだけ衝撃的な事を言わなければ岡田さんは一歩を踏み出すことが出来なかったことでしょう。ネモに対する怒りよりも、ネモのことを大事に思う気持ち(Hな演技を引き止めたい気持ち)を引き出したのですから大ファインプレーです。
もこっちの行動が岡田さんとネモのすれ違いを解消したというのがまた面白い……これが主人公の力ですね。

 

そして一行のもとには笑顔で手を振るネモと岡田さんが戻ってきます。
岡田さんは心配を掛けていた加藤さんに「色々ごめんね」と久々に取り戻した笑顔で謝罪し、「よしにもLINE送っとく」と、加藤さんと同じく心配していたであろう清田くんにも連絡を入れます。
その背後では知らない人にエロゲーとか言わないでよ、と至極もっともな事を言うネモの姿が。
もこっちは「でも声優って行ったらエロゲーは避けて通れない仕事でしょ?」と一言。そう、もこっちは決して岡田さんをからかうつもりがある訳ではなく、ただ本気で言っていただけなんですよね。主に匿名掲示板で得た知識でしょうが……。
それに対して「クロはバカだなー」と真顔で返答するネモ、全く怒っている様子はありません。
いや、寧ろ……

 

 

 

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……その口元には微笑みが浮かんでいました。
先程岡田さんには「別に強制じゃないし嫌な人は断れると思うよ」「それだったら応援してくれる?」と、まるでHな役の出演を拒否するつもりのような言い回しをしていました。
……が。ネモにははなからそんなつもりは無かったのです。
依頼された仕事なら断らない。
仕事を断るということは収入減、そして新たな仕事に繋がる可能性まで減らしてしまう恐れがあります。
本気で声優を目指すネモは、どんな役だろうと断る訳にはいかないのです。

 

そして岡田さんに満面の笑みを向けるネモ。
そのネモの笑顔を見て、安堵するかのような優しい笑みを浮かべる岡田さんを見つめながら、内面が滅多に明かされることのない貴重なネモのモノローグが挟まります。

 

 

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ああ……なんと背徳的で罪深い感情なのでしょうか……。
ネモは純情な岡田さんが、自分のことを本気で心配し、一喜一憂し、表情を変えてくれるのを見たいというのです。
きっと岡田さんはネモがHなゲームやアニメに出演する事を知ったら血相を変えるでしょうし、その演技している様子を聞けば苦々しい表情で……場合によっては泣いてしまうかもしれません。
が、そんな岡田さんを掌の上に乗せて、その様を見つめていたいというサディスティックな欲求

 

 

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クロ以外には言わない…つまり、もこっち相手には自発的に言おうとしていた事が窺い知れます。
もこっちの「空気読んだ発言とウケしか狙わない」リア充と正反対の事をしてみせる勇気にはネモが驚愕し、感化されるほどです。
その事からも同じ「陰」の世界の人間として、そしてオタクとして一目置いており、人には言えないような悩み事、沈殿していく闇を共有できる相手として見ているのかもしれません。

が……岡田さんは「陽」。光の中の世界の住人です。「陰」の世界の住人ではありませんし、本当のネモと付き合うにはあまりにも純情すぎるのかもしれません……。
岡田さんはネモの影の世界に足を踏み入れた代償として、望みどおりに真っ先にその事実を知らされて、ネモの掌で踊らされることになるのですから……。

 

 

……ゾクッと来ました。ミステリアスなネモがモノローグでその本心を久々に明かしてくれたと言うのに、更にネモは陰の世界に隠れてしまったような印象を受けました。
元々、喪97でもこっちに本当の自分を少しだけ明かすシーンでネモにグッと惹かれた私としては、今回のエピソードで更に目が離せなくなってしまいました。いやあ……ネモに蠱惑されちゃってますね……。


今回のエピソードは私の中で軒並み株が上がったキャラクターばかりで……特に田村さんとうっちーが今回見せてくれた一面は短いシーンだったのにも関わらず印象に残るとても素敵なものでしたし、岡田さんはやはり優しくて魅力的な子だということを強く再確認できましたし(特に登場シーンが多かったので、キャラクターとしての息遣いもより感じられるようになりました)、もこっちも久々の登場で「らしい」姿を見せてくれてとっても嬉しかったですし……ああ、枚挙に暇がありません。
……が、その中でもネモはやはり一筋縄ではいかないキャラクターで、私達にその陰に隠れた心を少しずつ見せてくれる度に「ドキッ」「ゾクッ」とさせてくれるのかと思うとたまりません。今後は一体どういう立ち回りを見せてくれるのか……絶対に目が離せませんね!

 


前回に引き続いて更に過去最長の文量になってしまいましたが……ここまで読んで頂いて本当にありがとうございました。